生きているのに靖国に祀られ…捕虜となった凄腕零戦パイロットの葛藤
大日本帝国の軍人(民間人も)は、捕虜となることを「恥」とする感情があった。それは、最前線で戦って捕虜となった者は英雄だと考える欧米の軍人とは、正反対の価値観であり、そのために、失われなくてもいいはずの多くの命が戦場に散っていったことは否めない。
今から76年前、南太平洋の最前線で戦っていた海軍でも有数の凄腕パイロットが、武運つたなく捕虜となった。戦時中、彼は戦死したと認定され、靖国神社に英霊として祀られることとなった。
だが、その英霊は、捕虜となったあと、太平洋の島々、そして米国本土の捕虜収容所を転々とさせられていた。「捕虜になるくらいなら死を選べ」と教育されていた男は、その間、何を見て、何を考えていたのでだろうか。